「「あ」」
風呂の脱衣所で同時に声が出た。今日は別行動で互いに違う業務をこなしていたのだが、なんて奇遇だろうか。
そもそも風呂まで行こうとまで考えるのが滅多とないというのに。一瞬妙な空気が二人の間に流れたが――もはや裸すら見知った仲、今更気を使う必要などありはしない。そのうちにコビーがいそいそと衣服を脱ぎ始めたので、ヘルメッポも同じように衣服のボタンに手をかけた。
「やったー!」
脱衣所の時点から気づいていたことであったが、だいぶ夜も更けていたからなのか実質貸切状態であった。年相応に喜び勇むコビーに対して、ヘルメッポは冷めた視線をコビーに向ける。
「誰もいねェからってこっちにじゃれつくなよ」
「そんなんやらないよ。というかヘトヘトだしもう休むだけ」
そう言いながらコビーは軽くシャワーで身体を流し、さっさと湯船に浸かってしまった。まったく、ちゃんと洗えよと文句を垂れながらヘルメッポは手元の石鹸を泡立て始めた。
一連のルーティンを終え、ヘルメッポはようやく湯船に浸かる。温かい水がじんわりと身体を包みこんで、溜まった疲れを取りほぐしていく。
ふとヘルメッポが隣のコビーの様子を見ると――湯船には浸かっているが手を頭の高さまで上げる、なんだか妙なポーズを取っていた。
「……何ですか」
怪訝な視線に気がついたのかコビーがヘルメッポの方を向く。
「なんだっけ、そんなポーズする動物みたことあんなって。なんの動物だったか……」
「……手沁みちゃうからしょうがないんです」
そうぼやくコビーの手元をじっくり見てみると――確かに、包帯を取り払ったその指先には未だ新しい生傷ができていた。最近は自分で出来るからと包帯番はしていなかったのだが、まだそんなに新しい傷を作っていたのかとヘルメッポは呆れたように眉を顰めた。
「ふーん……」
少し考えたのち、ヘルメッポは不意にコビーの手首を掴んだ。「ちょっ……!?」と驚くコビーを無視して、そのまま口元へと指先を近づける。
ぺろり、とまるで指先の血を舐めあげるように傷口に舌を這わせると、コビーの顔がみるみるうちに紅潮した。
「唾つけると治るっていうだろ。だからまじない」
そう悪戯っぽく笑うヘルメッポに対し、コビーは動揺して言葉が出ない。
「あ……あの……」
ようやく絞り出せた声に、ヘルメッポは上目遣いで顔を上げる。
「いちゃつくなって言ってたけど、ヘルメッポさんのほうがよっぽど恥ずかしいことしてるからね?」
「……あっ」
*【コビヘル語り】一緒にお風呂に入ったときor偶然出くわしてしまった2人について語りましょう。*


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