一人艦に揺られていると、どうしても眠れない夜がある。任務の緊張や、胸の奥に沈んだ不安が膨らみすぎて脳が興奮状態に陥って眠るのを拒否しているのだろうとは思うけど、だからといってどうすることも出来ない。
 しかし明日の為ならば寝ないという手段はまず考えられないので無理やり寝ることになるけども、こういうときに限って悪夢を見てしまうんだ。
 あの戦いの夢だ。
 とても苦しい夢だ。世界の命運を担う大戦の中、非力な自分は切り裂かれるような痛みを抱えながらただただ逃げるしかできなかった。身体が裂けるように痛くて、前へ進むのもやっとで……助けたかった仲間の笑顔が、ひとり、またひとりと消えていく。
 大佐になっても、英雄なんて呼ばれても、あの影だけは消えてくれない。――夢の中のぼくは、何度繰り返しても後悔の海から抜け出せない。

 だけど、いつもその絶望は突然終わる。――沈みきったぼくを、そっと抱き寄せてくれる腕があるのだ。
 声は聞こえない。顔も見えない。それでも、不思議とわかる。きっとあれはヘルメッポさんだ。
 あの時と同じだ。きっと彼自身も怖くないわけがなかったのに、身ひとつで立ち向かってくれた。ぼくを庇い、守り、必死に声を張り上げてくれた。
 そのぬくもりを思い出すたび、夢の中の闇がふっと薄れていく。

 そうして、気づけば朝の光が頬に触れている。エンジンの低いうなりが響き、金属の匂いが満ちる艦内。もちろん、そこにヘルメッポさんはいない。ぼくの隣に立っているわけでも、背中を抱いてくれているわけでもない。
 ……それでも胸の奥が、確かに軽くなっている。夢の中で差し伸べられたその手は幻でも、あの時ぼくを救ってくれたのは紛れもない事実だ。
 ぼくは息を整えながら、ゆっくりと起き上がる。
「大丈夫だ」
 自分にそう言い聞かせると、不思議と強くなれた気がした。

 ヘルメッポさんがいない朝なのに、安心しているなんて。……おそらくぼくは、あの人に救われ続けているんだと思う。

 

 

 

*コビヘルの怖い夢を見たときの対処法について考えて理由と共にツイートしましょう。*
#推しについて考える #shindanmaker

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