まず大前提として言うが、コビーは別に誰のものでもない。
それは恋人だからとか関係なく、なによりもコビーはれっきとした海兵なのだ。人々を救ったり守ったり、そのために他のやつと連携を取ったりする必要がある。だから別にコビー自身は誰それのものではない。それを言うとコビーの奴は何故か烈火のごとく怒るのだが、まあそれはそれとして。
だから――たとえ他のやつと話をしていたとしてもこんな感情になるのは、本来はおかしいことなんだ。
コビーはモテる。まあ未婚の若い海兵ならそうなるのは致し方ないのだろうが、気を惹かせようとする者、あわよくばと企む者、そして本気でコビーを想う者。だがコビーはいまのところはそういうのは関係なく、あくまで平等に接している。
もしかしてコビーからしたら見聞色で裏の顔が見えてるんじゃねェかとも思ったが、恋愛におけるあの鈍感さだとそんなはずはねェと断言できる。だからこれはきっと、おれの問題だ。
なのでコビーが誰と話そうがそれは自由だし、本来おれが口出しする権利はない。そんなことはわかっている。こんな余計な嫉妬心なんて、海の底にでも沈めちまえばいいんだ。そうやって今日も、何事もなかったかのようにやり過ごすんだ。
「ねぇ、ヘルメッポさん」
じっとコビーを見つめていたからなのか、おれの視線に気がついてコビーが駆け寄ってきた。どうせコビーはおれのこんな葛藤なんて知らずに、相変わらず屈託のない笑顔を見せるのだろう。おれはチリリと焼き付く感情を誤魔化し、またいつものように返事をする。
そう、それでいい、それで――。
「さっきぼく以外の人と話してたでしょ」
「えっ?」
拗ねた口調で追随するコビーに思わず驚いた。
鈍感なのは、おれか。
*【👓⛑️語り】相手が別の誰かと親しげに話すのを目撃した時、どうするかについて語りましょう。*


※コメントは最大500文字、5回まで送信できます